不導体被膜とは?ステンレスなぜ錆びない?

初めまして。
今日は不導体被膜について話そうと思います。
日常生活において「不導体被膜」なんて言葉耳にする事はないと思いますし
エンジニアでなければ一生耳にしない言葉でもあります。

でもこれは身近にあり、近い科学的現象ともいえるでしょう。

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不導体被膜とは?

金属の表面に酸化した被膜(薄膜)ができ、内部を酸による腐食(一般的に錆び)、酸化などから保護する状態のこと。
特例があり、強力な酸に曝された金属の表面にも不動態ができる場合がある。
これはステンレスに限らず、金属の表面なので、酸化膜が形成されていれば不動態と呼びます。

一般的な解釈はこうですが、「ん?」と思う方も多いかと思います。
下の画像を参照して下さい。

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ステンレスの周りにはnm(ナノ)の厚さの膜があり、それが金属を腐食から守ってくれているのですね。
錆びに耐える性能を「耐食性」言い、錆びにくい金属は耐食性が高いと言います。

ステンレスが錆びにくい理由

上記でも説明した通り、ステンレスには保護被膜が存在します。
これはアルミや鉄にもありますが、厚みに差がありステンレスの方が暑いので
鉄に比べて錆びにくいという訳です。
ですが、不導体被膜は無敵ではありません。

ステンレスは鉄に化合物を加えた物

ステンレスと鉄の違いを明白にしておかなければ、不導体被膜について理解する事が難しいので説明しておきます。
ステンレスとは鉄に化学成分を入れたもので
Fe(鉄)50%以上、Cr(クロム)10.5%以上を含む物質をステンレス鋼と呼びます。
一般的ステンレス鋼であり世界で一番流通量が多いステンレスはSUS304と呼び18%Crと8%Ni(ニッケル)を含んでいます。

錆びの発生要因

不導体被膜が無敵では無い事がご理解頂けたと思いますが、錆びの主な
発生要因はまず

・形状と環境

・孔食

・貰い錆び

・隙間錆び

と大きく分けてこの4つです。
他に細かい所で粒界腐食応力腐食などありますが、細かい話しは抜きにして
概略だけ説明していきます。

形状と環境

上でも少し説明した通り、海の中と家庭の中で使うのでは大きな差があります。
塩水霧吹きの実験をしているメーカもありますが、1ヶ月で大きな違いが出ています。

ソガ工業参照

sus4sus3
れはSUS304(一般的ステンレス)をしようしています。

この実験意図は#600(表面が綺麗な板)と、ヘアライン(表面が粗い)
の比較なので錆び検証が目的ではありませんが十分に伝わったと思います。
なぜこのような結果になったかは単純で、表面の粗さ、わかりやすく言えば
表面の凹凸の形状が違うのです。
見て一番左は、凹凸が恐らくnm以下で鏡面仕上げされている為、汚れや
目に見えない程、小さなゴミが溜まる確率が非常に少ない訳です。
しかし、見て一番右は表面に曇り加工を施している為、凹凸の差が激しく、ゴミや汚れが溜まりやすいのです。
ザラザラは錆びやすく、ツルツルはまだマシ(同材料による)と簡単に覚えておいて下さい。

孔食(こうしょく)

孔食とは不動態皮膜が穴状に破れて腐食する現象です。
孔食の原因には塩素イオン、次亜塩素酸ナトリウム、塩素水、塩化台二鉄などあります。

貰い錆び

読んで字のごとく錆びを貰う事です。
これは錆びていない鉄板に錆びている部品を組み合わせる事で、錆びの腐食が広がる事を言います。

隙間錆び

これは組立られている製品の隙間に、液体やゴミが溜まりそこから錆びが発生する事を言います。
車やバイク等は隙間が多く存在する機械なので、表面だけ手入れするのではなく
ばらせる部品はばらして、ちゃんと手入れしましょう。
でなければ、そこから貰い錆びが発生する可能性があります。

錆びの対策

錆びの対策と言っても種類はたくさんありますが、メジャーな物と言えば

・材料を変える

・塗装

・パシベート処理

大きく分けてこの3つが主流です。

材料を変える

錆びてしまった部品を綺麗にするには、表面を削る以外方法はありませんが腐食の度合いによっては、そのものを壊しかねませんし、使い続けるのは危険です。
錆びた材料が鉄ならステンレスに、ステンレスなら買い替えするか、それ以上
錆びにくい材料(チタン等)に変えて下さい。

塗装

鉄なんかはそのまま使うのは無く、塗装をして使用しているので、目にする機会も多いはずです。
ステンレスに塗装するいうのは、あまり聞いた事がありませんが鉄は錆び止めを含め塗装する事が普通です。

パシベート処理

この言葉はあまり浸透していませんが、この処理は珍しい処理ではありません。
基本的にステンレスを使用する製品は、部品段階でこの処理を行って出荷されています。
概要として

wiki

ステンレスは錆びにくい材質、と一般的には知られている。表面に酸化皮膜が自然に形成されることにより、地金まで酸化が及ばないことが、ステンレスが錆びにくい理由である。 この酸化皮膜は酸化鉄ではなく、ステンレス中のクロムと酸素が結合した酸化クロムである。
ただし、この皮膜は非常に薄く(20Å前後)、外的要因により欠損ができやすいので、その場所から錆びが発生することがある。この酸化皮膜を硝酸系の酸化剤により人為的に厚くすることで、防錆性能を向上させるのがパシベート処理方法である。
硬質クロムめっきなどと異なり、この処理は地金の表面を変化させる処理であるため、寸法変化が少ないという特徴を持つ。 また、この金属表面上の酸化皮膜を不動態皮膜とも言い、アルミニウムやマグネシウムでも生成する。

ピンとこない方は、不導体被膜を一度破壊して再形成すると覚えておくのが良いでしょう。
一般的には、パシベーション液に部品を浸し、洗浄しこの時に酸化クロムが再形成されます。
再形成する理由としては、加工時に保護被膜に傷がつくので新しく形成する必要があるのです。
パシベーション液は劇薬ではなく、水にクエン酸を入れるだけでも出来るので
実験するのも面白いですよ。

まとめ

内容としてはマニアックですが、錆というのは身近にある厄介な現象です。
理由を知っていれば対処も可能です。

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